ノムさん

もちろん、現役時代は見ていません。

現役時代の功績も歴代トップレベルの1人ですが、私がノムさんを見たのはヤクルトの監督になってからです。

当時のヤクルトは池山、広沢など若い選手が出てきて、関根監督のもと、とても明るいイメージでした。

なのに、なんであんな暗い監督にしたんだ！

と、ファンでもないのに文句を言っていた記憶があります。

しかし、それは大間違いでした。

ヤクルトはますます明るく、そして強くなりました。

当時全盛だった珍プレー好プレーではヤクルトだけのコーナーがあったと記憶しています。

池山と一茂の絡みなどよく覚えていますが、1番目立っていたのはノムさんでした。

カメラの前で変なダンスをしたり、よそ見して歩いててヒモに頭が引っかかったり。

ヤクルトファンでなくても今でも記憶に残っているシーンがあるのは凄い存在感です。

私がノムさんに1番言いたいのは、捕手の地位を上げてくれてありがとうございましたということ。

ノムさんがヤクルトの監督になった頃、私は中学生で、少年野球経験者が2人しかいない野球部でした。

当然、捕手を出来る人間がおらず、私が嫌々やることになりました。

少年野球で見た目華やかなショートをやっていた自分にとって、地味で大変な捕手は嫌でした。

そう、捕手といえば地味だったのです。

それが数年後には、野村ID野球とその申し子古田によって、捕手に対するイメージが一変しました。

捕手が注目されるようになったのです。

あくまでもそれ以前に比べてですが。

「キャッチャーやってたんですかぁ？すわってとるだけで楽なひとですよねー。」

なんて言われることもまだありましたが、ノムさんがいなかったらずっと捕手はもっと地味な存在だったかもしれません。

そして、ノムさんや古田、谷繁といった名捕手から学んで我々捕手の端くれは育ちました。

奥さんを亡くしてからかなり弱ってしまったように見えましたが、まだまだノムさん節を聞きたかったですね。

残念です。

ご冥福をお祈りいたします。